2019年10月17日木曜日

リーダーとしてのお悩み:学生気分が抜けていない新人

【あなたのストーリー】一緒に考えましょう

人間関係や仕事で気がかりなことや迷っていること、「あなたのストーリー」投稿お待ちしています。

リーダーとしてのお悩み:学生気分が抜けていない新人

ご自分の立場:新人の指導係(2年目の女 24歳)をサポートする立場
悩んでいる相手:今年入社の新人 (男 26歳)

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何を言っても響かず、改善されないので相手をする気が失せてしまった…。いわゆる学生気分が抜けていないので、仕事する際の優先順位がオカシイ。

業務知識や技術的な知識もなく、説明してもすぐに忘れる、参考ドキュメントは読まない、メールには気づかない、例え読んでいても理解していないし、自分に関係があると思っていないようで覚えていないことが多い。

質問に対する回答が的外れで、いちいち細かく聞かないといけない。10人中8人はこれで分かるよね、というレベルの質問を理解してくれない。

日本語能力が低く説明が極めて下手。同じ画面を見ているわけでもないのに「それがそうなります」という説明をするので意味がわからない。

先輩とか同僚へ敬意が感じられない独りよがりな言動が目立つ。敬語を使わない、挨拶や返事をしない、お礼も言わないし、先輩をナメてるし、他人に何かしてもらうのが当たり前のような態度に見える。

(ある勉強会でのお悩みより)
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教科書「12のリーダーシップストーリー、課題は状況対応リーダーシップ®で乗り切れ」を使って考える

このリーダーシップストーリー(お悩み)の主人公は、入社2年目の24歳の女性社員です。この女性社員が、新人の指導係として、今年入社してきた男性新人(26歳)をサポートしています。

そのなかで起きたお悩みです。
この女性社員は指導する立場なので、ここでは「リーダー」と呼び、指導される立場の男性を「フォロアー」と呼びます。
教科書の参考ページ
p.57:タスクを進める「レディネス」はできているか
p.149:暗黙の期待は危険!
教科書にもある通り、リーダーシップは身分や肩書ではありません。「働きかけ」を行う人がリーダーで、「働きかけ」を受ける人がフォロアーです。働きかけを行うかどうかで、だれがリーダーかが決まります。

このように、だれでもリーダーになりうるということは、この教科書でもっとも重要なポイントです。
  • リーダーは「働きかけ」を行う人
  • フォロアーは「働きかけ」を受ける人
さて、リーダーシップの現状を整理・分析するのに役立つのが、リーダーシップ項目診断表です。

リーダーシップ項目診断表
(教科書 p203~)



リーダーシップ診断項目表の項目の順に、「現在、目の前で行わているリーダーシップは、どのような状態か?」を整理します。
  1. タスクはなにか?  
  2. リーダーとフォロアーははだれか? 
  3. タスク(目標)のすり合わせはできているか? 
  4. レディネスと最適リーダーシップはなにか?
  5. フォロアーの欲求はなにか?
まず、タスクですが、ここでは新人を指導しようとしているので、新人にやってもらいたいことをタスクと考えます。

タスクは、どのようにもとらえることができます。たとえば、「新人を指導する」でもいいですし、もうちょっと具体的な指導にしたければ、「業務に必要な知識や技術を指導する」というタスクも考えられます。

しかし、ストーリーを読んでみると、「日本語能力が低く説明が極めて下手。・・・先輩とか同僚へ敬意が感じられない独りよがりな言動が目立つ。敬語を使わない、挨拶や返事をしない、お礼も言わないし・・・」、このあたりがどうも問題の原因として大きそうな感じがします。

そこで、ここではフォロアーにやってもらいたいタスクとして、「日常業務を社会人として円滑に行う」 を掲げてみましょう!

働きかけを行うリーダーは女性リーダー、働きかけを受けるフォロアーは新人男性。

次の項目は、「タスク(目標)のすり合わせ」です。リーダーとフォロアーがお互いに「なにをやろうとしている(やっている)」のか共有しあっているか、を考えます。

女性リーダーが新人男性に対して行おうとしている働きかけとして考えられることは・・・
  • 「仕事をする際の正しい優先順位を知らせる」
  • 「業務知識や技術的知識を学習させる」
  • 「参考ドキュメントを読ませる」
  • 「覚えられるようにメモさせる」
  • 「適切な説明や回答がするスキルを身につけさせる」
  • 「独りよがりな発言を避け、先輩や同僚への敬意を表す、敬語を適切に使うようにさせる」
  • 「挨拶やお礼を適切にさせる」
などなど、ストーリーから読み取れます。
すべて、「日常業務を社会人として円滑に行う」 ために必要な指導です。

さて、フォロアーは現状のこれらの働きかけをどう感じているでしょうか?
フォロアーは自分で、そういった働きかけを必要だと感じているでしょうか? 
自分がこれらの分野で改善が必要だと感じているでしょうか?

ストーリーを読むと、必要だと感じていないように感じられます。

となると、女性リーダーが掲げているタスクに対して、フォロアーのレディネスは低能力・低意欲のR1、とリーダーは診断します。

R1のレディネスに最適なリーダーシップは?
S1(教示的スタイル)です。


この女性リーダーは、新人男性に対して指導がうまくいかずイライラしているようです。
本当はS1(教示的スタイル)をとりたいのに、サポートの立場とあるので、思うように指導育成ができないのでしょうか?

「10人中8人はこれでわかるよねというレベルの質問を理解してくれない」ということですが、このような表現はよく聞かれます。

これは教科書p.149の「暗黙の期待は危険!」にあたります。「こんなこと常識でしょう?」や「10人中8人はこれでわかる」は、自分にとってそうなのであり、社会の人々全員がそう感じているかどうかは確認しなければわかりません。思い込んで一方的なリーダーシップをとるのは危険です。

フォロアーに直接確認することが、相手のレディネスを的確に診断するもっともよい方法です。

最後に、状況対応リーダーシップ®をさらに掘り下げて、行動科学のいくつかの理論やモデルを使って、フォロアーの欲求はなにか、表面に現れていないフォロアーの動機を深掘りすることもできます。それが最後の項目の「フォロアーの欲求」になります。

このストーリーでは、情報が不十分なので割愛します。

勉強会や講座では、このように整理・分析した上で、「では、これからどうするか」を具体的な行動をあげて検討します。

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